ストップモーション・アニメ映画『ファンタスティック Mr.FOX(Fantastic Mr. Fox)』野生の誇りをかけた壮絶な戦いが始まる

チャーリーとチョコレート工場

ティム・バートン版では映像表現も妥協なし

 第一回映像化の『夢のチョコレート工場』では、やはり当時の技術からくる映像面での不満がかなり大きくのしかかっておりましたが、それらを払しょくするべく『チャーリーとチョコレート工場』というタイトルで平成17年にティム・バートン監督によってリメイクされました。本作ではしっかりと『くるみを割るリス』が出てきますし、身長の伸びたマイク・ティービーもしっかりと表現されています。またウンパルンパもCGを使って一人の役者さんが演じており、不気味で面白く、そしてちょっとブラックなファンタジー・コメディ作品にしあがっておりました。本作は前作と同じく、ロアルド・ダールの児童文学小説『チョコレート工場の秘密』が原作で、第78回アカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされていました。

スタッフ

  • 監督ティム・バートン
  • 脚本ジョン・オーガスト
  • 製作ブラッド・グレイ
  • リチャード・D・ザナック
  • 製作総指揮パトリック・マコーミック
  • フェリシティー・ダール
  • マイケル・シーゲル
  • グレアム・パーク
  • ブルース・バーマン
  • 出演者フレディ・ハイモア
  • ジョニー・デップ
  • 音楽ダニー・エルフマン
  • 編集クリス・レベンゾン.A.C.E.
  • 製作企業ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ
  • ザ・ザナック・カンパニー
  • プランBエンターテインメント
  • テオバルト・フィルム・プロダクションズ
  • ティム・バートン・プロダクションズ
  • 配給ワーナー・ブラザーズ
  • 公開アメリカ・カナダ平成17年7月15日
  • イギリス平成17年7月29日
  • オーストラリア平成17年9月1日
  • 日本平成17年9月10日
  • 上映時間115分
  • 製作国イギリス
  • アメリカ合衆国
  • オーストラリア
  • 製作費$150,000,000(概算)
  • 興行所得$474,968,763世界
  • $206,459,076アメリカ
  • 53.5億円日本

単館シアター

売り場の関係上、これ以上広げる事が出来ない、場所を見繕えないという店舗責任者の方にこそ利用していただきたいラウンダー活動を一度お試しください!

登場人物

ウィリー・ウォンカ

 工場長。シルクハットに杖・燕尾服・手袋を身に着け、子どもじみた性格で時代遅れのフレーズを連発する変人です。「天才ショコラティエ」や「チョコの魔術師」等と呼ばれていてます。本作ではアダルトチルドレンな人物として描かれています。スパイによって極秘のレシピの情報を漏らされた事から表面上は工場を閉鎖するのですが、実のところはウンパ・ルンパを従業員として雇い、15年間も工場に籠りながら経営を続けていたのです。ちなみに「キモイから」といってガムを嫌っていますが、何故か工場では生産しています。作中で即興で歌を作ったシーンの時もチューインガムを嫌った歌を歌っていましたが、何故か作っています。

 また工場に招待した子どもたちの中でも、屁理屈をこねるマイクをとりわけ嫌っていたようです。そう言った子どもに当たる姿などは、やはり原作と比べて、かなり皮肉屋に描かれています。

 「両親」という言葉が何故か言えず、子どもの頃に歯の矯正器具を付けていたせいか、笑顔がやや不自然という特徴があります。また、長い間、工場にこもりきりだったのか非常に青白い顔をしています。燃え盛る花火を発砲して無残な姿になったセットの人形をみて大喜びしたり、子どもたちがトラブルを起こしても心配するそぶりを見せない等の冷酷な一面もあります。

 彼のショコラティエとしての能力を印象づけるエピソードとして「ポンディチェリー王子というインドの富豪からの依頼で『レンガからそれを留めるセメントはおろか、壁の絵や絨毯に至るまで全てチョコレートの宮殿』を作ったことがありますが、王子はチョコ宮殿を食べずにそのままにしたら数日後に溶けてしまった」という話が語られています。

 彼はもともと歯医者の家に生まれるが、お菓子を全否定する父親に反発して家出し、お菓子工場を建設しました。ある時、散髪していた時に見つけた白髪から自分の死後の工場の行方を心配し、工場の後継者を探す為に5人の子どもを工場に招待しました。最終的にチャーリー・バケットが残ったため、彼に工場を継ぐように言うが「家族を捨てる事はできない」と断られます。その後で偶然彼と再会し、一緒に父親の元を訪ねてくれるよう頼みます。最終的には父親と和解し、バケット一家と共に工場を経営することになります。

チャーリー・バケット

 本作の主人公である少年で工場のちかくに住んでいます。祖父母が寝たきりながらも4人とも健在で、さらに父親が薄給の上に、後に失業した事で限りなく貧しい家の育ちですが、家族思いの優しい少年として描かれています。ウィリー・ウォンカに憧れ、父親の通っている工場で生産している歯磨き粉のパーツでチョコレート工場の模型を作っているほどのウォンカファンでした。毎年誕生日にだけチョコレートをもらえるのですが、そのたった一枚のチョコを家族みんなに分けてあげるという優しい一面も見られます。

 そんな彼ですが、拾ったお金で買った3枚目のウォンカバー(誕生日プレゼントの1枚目とジョーおじいちゃんのへそくりで買った2枚目は外れ)に、たまたまゴールデンチケットが入っていた為、工場に招待されます。

 工場内でさまざまなハプニングを乗り越えて、最後に残った子どもであったためウォンカから工場を継ぐように言われています。しかし、「家族を捨てること」が後継条件だったので一度は拒否することとなります。その後、街で靴磨きをしている時にウォンカと再び出会い、最終的にはウォンカが歯科医の父親と和解する手助けをすることとなりました。その後再びウォンカに工場の跡継ぎの話を出され、「家族も一緒なら」という条件のもとに受け入れることとなります。その結果、チョコレートの滝の部屋に彼の家がそのまま移設され、彼の家族も同居できるようになりました。

バケット氏

 チャーリーの父親で、バケット家の唯一の働き手で歯磨き粉工場で働いていましたが、工場の近代化(合理化)によりリストラ対象となってしまいます。のちに工場に復帰し、導入された新型機械の修理工となった為に所得が格段に増えるというストーリーがあります。最後はウォンカを家族の一員として温かく迎えられることとなりました。

バケット夫人

 チャーリーの母親で、普段は4人の老人の介護と家事とで手一杯なので、働きに出る事もできません。家計が苦しいので毎日キャベツのスープを作っており、原作続編に拠れば、腰痛や関節痛に悩まされているようです。「食事中に仕事の話は厳禁」とのルールを定め、仕事を失った夫に「それならキャベツのスープをもっと薄めればいい」と前向きに支える一面もあります。

ジョーおじいちゃん

 チャーリー・バケットの同行者で、チャーリーの父方の祖父です。これは原作準拠の設定ですが、映画版では昔、ウォンカの工場で働いていた過去があるという映画オリジナルの設定も付け加えられています。チャーリーの祖父母のなかで最高齢の96歳で、ほとんどベッドで寝たきりだったのですが、チャーリーがゴールデンチケットを当てたと知った途端に元気になります。

ジョゼフィーンおばあちゃん

チャーリーの父方の祖母(原作準拠)。原作では90歳を越えていることになっています(原作続編では78歳ということになっている)。

ジョージおじいちゃん

 チャーリーの母方の祖父です。頑固者で現実主義者ですが、家計を考えてゴールデンチケットを換金しようとしたチャーリーを諌める一面もあります。皮肉屋で大変口が悪いため、度々バケット氏に言葉遣いを諌められる場面もあります。

ジョージーナおばあちゃん

 チャーリーの母方の祖母で、映画ではやや認知症が始まっているように描かれています。夫やジョゼフィーンと同じく、原作と続編とで年設定が異なっています。聴力がかなり落ちているようで、ウィリー・ウォンカがガラスのエレベーターで屋根を突き破っても「誰かがドアをノックしたみたい」と言う程です。

ウンパ・ルンパ

 ルンパランドという国に住む小柄な人々で、ジャングルに住む動物から身を守るため、木の上で生活しています。普段はマズい緑色のイモムシを食べているのですが、時折カカオ豆を食べることもあります。

 彼らの間ではカカオ豆は貴重品で、年に3~4粒取れればいい方であるようなのですが、そんな彼らにウィリー・ウォンカは給料をカカオ豆で支払う交渉をして、従業員としたということです。原作では奴隷同然のような扱いだったものの、人種差別的な批判をかわすためなのか、きちんと労働契約を結んでいます。

 また従業員の殆どは白黒の縞模様の服の上から、セクションによって色が異なるレザーのつなぎを着ています。また、受付嬢の他、ウィリー・ウォンカ専属の秘書やカウンセラー等もいます。歌と踊りを好み、即興(?)で歌を作るが、皆には「練習していたみたい」と言われています。彼らの間では腕を交差させて胸につける事は「同意」を示すジェスチャーのようでありますが、これは監督バートンが愛好するカルト映画『プラン9・フロム・アウタースペース』からのオマージュです(登場する宇宙人が同様のジェスチャーをする)。なお、今作では全てのウンパ・ルンパを一人の役者が演じていて、男女を問わず全て同じ顔をしています。作中では歌以外で全く喋っておらず、ジェスチャーで意思表示を行う(映画では音声は入らないが会話している)が、ウィリー・ウォンカの指示にちゃんと従っているため、言葉は理解できているものと思われます。

オーガスタス・グループ

 ジョージおじいちゃんに「最初の当選者はきっとブタみたいな奴」と予想されていましたが、正にその通りの肥満児であるドイツ・デュッセルドルフの肉屋の息子です。チョコレートが大好物で毎日食べており、チケットを手に入れることとなりました(つまり、チャーリーと違って毎日チョコレートを買ってもらえる子どもである)。その際、チョコと一緒にチケットの一部を噛み切ってしまいました。彼は同じく太めの母親と同行し、自分の食べるチョコを物欲しそうに見るチャーリーに「持ってくれば良かったのに」と嫌味を言います。

 彼を風刺するウンパ・ルンパは南米調の歌を披露し、赤いつなぎを着ています。

 最終的に工場見学の際には欲張ってチョコレートの滝に落ちたのですが、泳げないためにチョコのパイプに吸い上げられてしまいます。最後はチョコまみれになって工場から出てくるのですが、性懲りもなく自分の身体に付着したチョコを美味しそうに舐めていたのでした。

バイオレット・ボーレガード

 アメリカ・ジョージア州アトランタ在住。ステージママの母親の影響で「1番」や「優勝」という言葉に非常にこだわり、賞獲りに執念を燃やす少女です。空手等のスポーツを得意とし、今までのトロフィー獲得数は263個。今はガム噛みの記録更新の為、常にガムを噛んでいます。母子家庭のせいか、いつも母親とお揃いの服装をしています。かなりの自信家で「絶対に自身が賞を手に入れる」と豪語し、貧乏なチャーリーを「負け犬」呼ばわりします。

 彼女を風刺するウンパ・ルンパはディスコファンクロック調の歌で、黒いつなぎを着ています。

 ウォンカの制止を振り切って試作品の「フルコースが味わえてお腹もいっぱいになるガム」を食べ「世界で初めてガム食を味わった子どもだ」との母親の喜びもつかの間、無謀さが仇となって試作品の副作用で体がブルーベリーのように膨らんでしまいます。そのあと体の中のジュースを絞り出され、髪の毛まで真っ青のゴム状の体になってしまうのですが、母親が複雑な心境でいる一方、本人はまるでガムのように柔軟になった体が満更でもないようです。

特撮映画大集合

ベルーカ・ソルト

 イギリス・バッキンガムシャーのナッツ工場の社長令嬢で、金持ちの家庭で甘やかされて育った為に非常にわがままな性格です。何でもかんでもすぐ欲しがることから、自分でチョコを買ったわけではなく、父親が大量にウォンカバーを買占めさせ、工場の従業員に探させた事でチケットを得ました。ジョージおじいちゃんに「ブタよりたちが悪い」と言われています。娘に甘い父親と共に工場を訪れ、バイオレットと腕を組み「親友」になろうとしますが、実際には互いにライバル意識をむき出しにしていて、バイオレットがガムの副作用で膨れていく際には密かにほくそ笑む場面もありました。

 彼女を風刺するウンパ・ルンパはサイケデリックなスローバラードを歌い、黄色いつなぎを着ています。

 ナッツ選別用のリスをペットに欲しがり、ウォンカに「売り物では無い」と言われても、強引に手に入れようとします。しかし、その後ナッツ選別用のリス達に父親と共にダストシュートに投げ込まれ、最後はゴミまみれになって工場から出てくることになってしまいます。そんな目に遭っても最後までわがままぶりは直らなかったのですが、父親の方は反省したらしく、以前のように娘を甘やかさなくなりました。

マイク・ティービー

 アメリカ・コロラド州デンバー在住。高校地理教師の息子で、自分の知識が絶対に正しいと思い、それを決して曲げない性格です。典型的な秀才気取りのハイテクおたくとして描かれ、DOOMのような3Dシューティングゲームをやりながら「チョコの製造年月日、天候による増減、株価指数のデリバティブを換算して、1回でチケットを当てた」とインタビューに応えています。

 彼はチョコレートが大嫌いであり(実際の所ゴールデンチケットを手に入れた際に買ったチョコレートに口を付けていない)、単にチケットを計算で当てる事だけが目的だったと思われます。気弱な上にハイテクに疎い父親と共に工場を訪れます。ウォンカの言う事にいちいち口を挟み、しかも全てのスイーツに全然興味が無く、工場見学に参加したのは自分の知性をひけらかす為だと推測されます。彼の性格には非常に攻撃的な一面があって、自宅では前述の3Dシューティングゲームを「死ね、死ね」と叫びながら遊んでいて、工場内ではカボチャを模した菓子を粉々に破壊したりもしています。

 彼を風刺するウンパ・ルンパはQueenやBeatlesをモチーフとした歌を披露し、テレビの中を舞台にするだけに衣装もさまざまですが、基本は白いつなぎです。

 そんな彼の結末ですが、チョコレート転送機の人体実験を勝手に行って小人になってしまい、最終的に飴伸ばし機でペラペラの紙のような体になってしまいます。ウォンカが彼のことを殊更嫌っていたからか、ウンパ・ルンパの歌による風刺は4人の中で一番酷く「元に戻れなかったらいい気味だ」とまで言っています。

ウィルバー・ウォンカ

 映画オリジナルキャラクターです。ウィリー・ウォンカの父親の歯科医で、ウィリーに特製の大掛かりな歯列矯正器具を付けさせていました。「お菓子は虫歯の素、チョコレートなんて時間の無駄」と断言し、息子の目の前でハロウィンのお菓子を暖炉に投げ込むほどお菓子を目の敵にしておりました。のちに息子ウィリーがショコラティエになると言い出したときには「お前の帰る家は無い」と見捨て、本当に家ごと消えてしまったという過去があります。

 しかし本編の最後で、息子の新聞記事のスクラップを額縁に入れて診察室の壁いっぱいに飾ったり歯を診ただけでウィリーだと分かる等、本当は心の奥底では息子を愛し、気遣い、誇りに思っていたことが判明します。最後はチャーリーの仲介により、息子と和解することができるのでした。

サイケデリックで最後にホロリ

 前作同様個性的なキャラクターとサイケデリックな映像美で魅せてくれた本作ですが、やはりなんといっても特筆するべきはジョニー・デップのその演技力だと思われます。勿論ウンパルンパも非常に気味悪可愛く出来上がっているのですが、それ以上にジョニー・デップの演じるアダルトチルドレンなウォンカの魅力が、本作に新たな視点を与えているといっても過言ではありません。サイケデリックでシニカルなファンタジー作品であるにも関わらず、最後にはしっとりとした気持ちにさせてくれるのは本作チャーリーとチョコレート工場の非常に優秀な部分だと思われます。

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