ストップモーション・アニメ映画『ファンタスティック Mr.FOX(Fantastic Mr. Fox)』野生の誇りをかけた壮絶な戦いが始まる

原作ロアルド・ダール

ミステリ好きならば知らない人はいない人!

 ロアルド・ダールは大正7年9月13日生まれのイギリス、南ウェールズ・カーディフ出身の作家・脚本家で、ミステリを書かせるとなんとも珍妙な一級品を描くと言われるほどの実力を持っていた人物です。特に「奇妙な味」と評されるダールの短編小説は、様々な作家や評論家、翻訳家のアンケートの結果、平成19年3月発行のミステリマガジンにて、オールタイム・ベスト(ミステリ小説短編部門)の第一位に輝いています。この受賞した『南から来た男』の他、『味』、『大人しい凶器』など、日常的な世界や風景、会話の中に人の心の深い部分に潜む凶器を描く手法で高い評価を得ています。

ダールの魅力とは?

 彼の魅力としてあるのはいわゆる文学としての作家の側面よりも骨太なエンターテイメントとしての物語を描くその姿勢にあるかと思います。独特な世界観でありながらも、どこかブラックな味わいがある児童文学を描く作家としても有名ですし、その他にも数々の怪作短編ミステリを生み出しています。特に自分が好きな短編は「怖い人々」というタイトルの『あなたに似た人』に収録されている短編で、その緊張感に満ちた展開と驚くべき結末によって世界中で、絶大な評価を受け、その短篇集と、それに続く『キス・キス』という作品は、アメリカのTVシリーズであるヒッチコック劇場という番組の中で映像化もされておりました。

 彼自身イメージが非常に具体的に描ける物を得意としており、ストーリーもかなり鮮明であるので、わかりにくいものはないのですが、そんな明白な文章の中にこっそりと毒を仕込んでいるところに非常に作者の技術力の高さを感じずにはいられません。本作、ファンタスティックMr.FOXにおいてもそんなシニカルな魅力が生きているといえるでしょう。

単館シアター

略歴

 ノルウェー人の両親のもとに生まれます。シェル石油で働き、タンザニアやカナダにも行きましたが、第二次世界大戦が始まってからはイギリス空軍の戦闘機パイロットとして従軍しました。乗っていた飛行機が墜落し脊髄に重傷を負うも、なんとか生還し、その後、アフリカで聞いた不思議な話やパイロット時代の経験を元に小説を書くようになりました。ある作家が、取材のためにダールの飛行体験についてメモを書くよう依頼しましたが、そのメモの素晴らしさから、そのままダール名義で出版され、それがきっかけで作家デビューを果たしました。風刺やブラックユーモアに満ちた短編小説や、児童文学で非常に有名な作家です。

 また、007シリーズで有名なイギリス人作家のイアン・フレミングの友人である事から、映画『007は二度死ぬ』と『チキ・チキ・バン・バン』の脚本も手がけました。

 そんな彼ですが、昭和28年に女優のパトリシア・ニールと結婚したものの、昭和58年に離婚してしまいます。元々パトリシアは大スター、ゲイリー・クーパーと3年間不倫関係にあったそうで、彼女は妊娠したが、クーパーの妻はカトリック教徒であるため離婚に応じず、子どもを中絶せざるをえませんでした。それにより、パトリシアはマスコミから袋叩きにあい、仕事も来なくなっってしまったそうです。そんな時に彼女を可愛がっていた劇作家リリアン・ヘルマンの紹介により、ロアルド・ダールと出会い結婚し、結婚後も女優を続け、アカデミー主演女優賞を受賞しました。5人の子どもに恵まれたが、妊娠中に脳卒中に襲われ、夫のダールの献身的な看護とリハビリのおかげで無事に出産し回復したものの、しかし、パトリシアは彼の度重なる浮気を理由に30年の結婚生活にピリオドを打ちました。「自伝」の結びにも「自分の愛した男の人はただゲイリー・クーパーただ一人だった」と書いています。

 ロアルドは同郷の女の人フェリシティー・クロスランドと再婚します。二人の間に子どもはいません。長女オリヴィアが7歳の時に脳炎で亡くなり、4ヶ月だった息子テオは交通事故で脳に障害を負いました。ロアルドの死後は、妻のフェリシティーによってロアルド・ダール基金が設置されました。ちなみに子どもたちは全員ロアルドになついていたため、現在も後妻のもとに集まるとのことです。

 また有名な話ですが、スタジオジブリの宮崎駿はロアルド・ダールのファンで、オマージュとして映画『紅の豚』で「銀河(天の川)」の様な、「飛行士たちのヴァルハラ」への「昇天」エピソードを挿入しています。またダールのいくつかの和訳本において前書きや解説等も行っています。

特撮映画大集合

短編集

OvertoYou:10StoriesofFlyersAndFlying(昭和21年)
『飛行士たちの話』永井淳/訳(ハヤカワ・ミステリ文庫昭和56年7月)-「簡単な任務」等
SomeoneLikeYou(昭和28年)
『あなたに似た人』田村隆一/訳(早川書房、昭和32年10月/15)
KissKiss(昭和35年)
『キス・キス』開高健/訳(早川書房〈異色作家短篇集〉、昭和49年9月)
SwitchBitch(昭和49年)
『来訪者』永井淳/訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)

長編

MyUncleOswald(昭和54年)
『オズワルド叔父さん』田村隆一/訳(早川書房、平成3年)

児童文学

  • TheGremlins(昭和18年)
  • JamesandtheGiantPeach(昭和36年)
  • 『おばけ桃の冒険』田村隆一/訳昭和47年9月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション1>おばけ桃が行く』柳瀬尚紀/訳平成17年11月
  • CharlieandtheChocolateFactory(昭和39年)
  • 『チョコレート工場の秘密』田村隆一/訳昭和47年9月
  • 平成17年「チャーリーとチョコレート工場」ティム・バートン監督による2度目の映画化。
  • TheMagicFinger(昭和41年)
  • 『魔法のゆび』宮下嶺夫/訳昭和61年7月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション3>魔法のゆび』宮下嶺夫/訳平成17年11月
  • FantasticMrFox(昭和45年)
  • 『父さんギツネバンザイ』田村隆一・米沢万里子/訳昭和51年3月
  • 『父さんギツネバンザイ(てのり文庫)』田村隆一・米沢万里子/訳昭和63年9月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション4>すばらしき父さん狐』柳瀬尚紀/訳平成18年1月
  • CharlieandtheGreatGlassElevator(昭和42年)
  • 『ガラスのエレベーター宇宙にとびだす』田村隆一/訳昭和53年8月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション5>ガラスの大エレベーター』柳瀬尚紀/訳平成17年7月
  • DannytheChampionoftheWorld(昭和50年)
  • 『ぼくらは世界一の名コンビ!ダニィと父さんの物語』小野章/訳昭和53年6月
  • 『ぼくらは世界一の名コンビ!ダニィと父さんの物語(てのり文庫)』小野章/訳平成2年4月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション6>ダニーは世界チャンピオン』柳瀬尚紀/訳平成18年3月
  • TheWonderfulStoryofHenrySugarandSixMore(昭和52年)
  • 『ヘンリー・シュガーのわくわくする話』小野章/訳昭和54年3月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション7>奇才ヘンリー・シュガーの物語』柳瀬尚紀/訳平成18年10月
  • TheEnormousCrocodile(昭和53年)
  • 『でっかいでっかいワニのはなし』田村隆一/訳昭和53年11月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション8>どでかいワニの話』柳瀬尚紀/訳平成19年1月I
  • TheTwits(昭和55年)
  • 『いじわる夫婦が消えちゃった!』田村隆一/訳昭和57年7月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション9>アッホ夫婦』柳瀬尚紀/訳平成17年9月
  • George'sMarvelousMedicine(昭和56年)
  • 『ぼくのつくった魔法のくすり』宮下嶺夫/訳平成2年2月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション10>ぼくのつくった魔法のくすり』宮下嶺夫/訳平成17年4月
  • TheBFG(昭和57年)
  • 『オ・ヤサシ巨人BFG』中村妙子/訳昭和60年11月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション11>オ・ヤサシ巨人BFG』中村妙子/訳平成18年6月
  • RevoltingRhymes(昭和57年)
  • 『へそまがり昔ばなし』灰島かり/訳平成14年3月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション12>へそまがり昔ばなし』灰島かり/訳平成18年6月
  • DirtyBeasts(昭和58年)
  • 『<ロアルド・ダールコレクション14>こわいい動物』灰島かり/訳平成18年10月
  • TheWitches(昭和58年)
  • 『魔女がいっぱい』清水達也・鶴見敏/訳昭和62年4月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション13>魔女がいっぱい』清水達也・鶴見敏/訳平成18年1月
  • TheGiraffeandthePellyandMe(昭和60年)
  • 『こちらゆかいな窓ふき企業』清水達也・清水奈緒子/訳平成元年9月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション15>こちらゆかいな窓ふき企業』清水奈緒子/訳平成17年7月
  • Matilda(昭和63年)
  • 『マチルダはちいさな大天才』宮下嶺夫/訳平成3年4月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション16>マチルダはちっちゃな大天才』宮下嶺夫/訳平成17年9月
  • RhymeStew(平成元年)
  • 『<ロアルド・ダールコレクション17>まぜこぜシチュー』灰島かり/訳平成19年3月
  • EsioTrot(平成元年)
  • 『恋のまじない、ヨンサメカ』久山太市/訳平成9年5月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション18>ことっと開始』柳瀬尚紀/訳平成18年3月
  • TheMinpins(平成3年)
  • 『ふしぎの森のミンピン』おぐらあゆみ/訳平成5年12月
  • TheVicarofNibbleswicke(平成3年)
  • 『ねぶそくの牧師さん』久山太市/訳平成11年10月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション19>したかみ村の牧師さん』柳瀬尚紀/訳平成19年1月
  • TheMildenhallTreasure(平成12年)
  • 『ミルデンホールの宝物』中村妙子/訳平成12年7月

自伝的作品

  • Boy-TalesofChildhood(昭和59年)
  • 『少年』永井淳/訳(早川書房、平成元年)
  • 『少年(ハヤカワ・ミステリ文庫)』永井淳/訳(早川書房、平成12年)
  • GoingSolo(昭和61年)
  • 『単独飛行』永井淳/訳(早川書房、平成元年)
  • 『単独飛行(ハヤカワ・ミステリ文庫)』永井淳/訳(早川書房、平成12年)
  • MyYear(平成5年)
  • 『一年中ワクワクしてた』久山太市/訳平成12年9月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション20>一年中ワクワクしてた』柳瀬尚紀/訳平成19年3月

アンソロジー

  • 『王女マメーリア』田口俊樹/訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)
  • 『まるごと一冊ロアルド・ダール』田村隆一・他/訳平成12年10月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション別巻1>ダールさんってどんな人?』クリス・ポーリング/著灰島かり/訳平成19年4月
  • 『<ロアルド・ダールコレクション別巻2>「ダ」ったらダールだ!』ウンディ・クーリング/編柳瀬尚紀/訳平成19年4月

ロアルド・ダール劇場

 ロアルド・ダール劇場「予期せぬ出来事」(RoaldDahl'sTalesofUnexpected)とは、BBCで昭和54年から放映されたドラマシリーズ。ダール自身の短編小説を原作とした1話完結/30分のミステリーで、本人が案内役で出演しています。日本でも昭和55年から東京12チャンネル(現テレビ東京)で放送されました。現在、DVDが入手可能です。

ストップモーション・アニメ映画『ファンタスティックMr.FOX(FantasticMr.Fox)』野生の誇りをかけた壮絶な戦いが始まる